下書き⑤

泥臭く蒸し暑い夜道を辿る。

歩道のタイルも

街灯に照らされる自らの浅黒い肌さえも

艶やかに映るのはアルコールのせいに違いない。

気付けばボンヤリと大口を開けていた。

湿った風はそれ自体が渇きを癒すわけではない。

いつだって求めているのは

風になびく任意の夏の象徴なのに。